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「忙しい」を言い訳にしていませんか?保育の質を見直す第一歩~保育の人手不足が招く課題を考える~

  • 執筆者の写真: ほいくサポ
    ほいくサポ
  • 3月19日
  • 読了時間: 8分
考える保育士

1. はじめに


保育の質を見直すためには、まず職場の雰囲気や環境を改善する必要があります。保育現場で「忙しい」「人がいない」という言葉を耳にすることは、誰もが経験したことがあるのではないでしょうか。これらの言葉は、現場の厳しい状況を示すものである一方で、知らず知らずのうちに職場の雰囲気や保育の質に影響を及ぼしていることがあります。


「忙しい」という言葉が職場全体の合言葉のようになると、問題に立ち向かう意欲や、仲間とのコミュニケーションが薄れてしまうこともあります。この記事では、「忙しい」を言い訳にしないための考え方や、職場環境を改善する方法について詳しくお伝えします。



 

2. 「忙しい」を口癖にすることの弊害

忙しい中で働く保育士が「忙しい」とつい口にするのは自然なことかもしれません。しかし、この言葉が繰り返されることで、次のような問題が生じる可能性があります。


現状維持の心理を生む

「忙しい」と言い続けると、「これ以上は無理」、「何をしても変わらない」という諦めの心理が生まれます。この心理は、個人だけでなく職場全体に広がり、改善の意欲を削いでしまうことがあります。


コミュニケーション不足を引き起こす

「忙しい」と言われると、周囲の人は話しかけることを遠慮してしまう傾向があります。その結果、必要な情報共有が滞り、職員同士の連携が弱まることで、業務の効率が下がることがあります。


職場の雰囲気に悪影響を与える

「忙しい」が職場全体の口癖になると、自然とピリピリした雰囲気が生まれることもあります。その結果、保護者や子どもたちにまでその影響が及びることがあります。



 


3. 保育の質を見直すための取り組み

「忙しい」という言葉を避けることで、職場の雰囲気が改善されることがあります。私自身の経験を基にした取り組みをご紹介します。


ポジティブな言葉遣いを意識する

職場内で「忙しい」の代わりに、「今日は充実しているね」、「みんなで頑張って乗り越えよう」という前向きな言葉を使うことを提案しました。こうした言葉が職員同士の距離を縮め、より良い関係を築くきっかけとなりました。


マイナスの言葉を減らすルールを導入

子どもたちにマイナスの言葉を使わないよう心がけるのと同じように、大人同士でもお互いに優しい言葉を掛け合うことを意識しました。これにより、職員同士のコミュニケーションがスムーズになり、職場全体の士気が高まりました。



 


4. 保育の人手不足が引き起こす課題

人手不足は、多くの保育施設が抱える深刻な問題です。この課題は、保育士一人ひとりの負担を増やすだけでなく、保育の質にも影響を与えます。


子どもたちへの影響

十分な人手がないと、子どもたち一人ひとりに目を配る時間が減り、必要なケアや指導が行き届かなくなるリスクがあります。また、安全管理が疎かになる可能性もあります。


不適切保育の発生リスク

人手不足が続くと、職員にかかる負担が増大し、不適切保育が発生するリスクが高まります。実際に報告される不適切保育の多くが、人手不足を背景としたものであると言われています。


解決のための具体策

  • 業務の効率化を図るためにICTツールを導入する。

    慣れるまでに時間はかかってしまいますが、確実に業務短縮になります。新しいことを覚えるという点で導入当初はかえって時間がかかるイメージを持ってしまいがちですが、覚えてしまえば「あの不安は何だったんだろう?」という程度になります。


  • 外部のリソースを活用し、業務負担を軽減する。

    勤怠処理などは社労士、経理処理は会計士、バスの運用はバス会社、採用は紹介派遣会 社、掃除はクリーニング会社などコストはかかってしまいますが、分野ごとに外部に委託してしまうのも一つです。


 


5. 忙しさの中で褒め合う文化を作る

忙しい中でも、仲間をねぎらい、感謝の気持ちを伝えることは、職場の雰囲気を大きく変える力があります。


小さな努力を認め合う

職場で「ありがとう」「助かったよ」という言葉を交わすだけで、日々の忙しさにポジティブなエネルギーを生むことができます。


感謝の文化を定着させる工夫

ねぎらいを習慣化するため、終礼で「今日の良かった点」を共有したり、月に一度「ありがとうの日」を設けたりするのも効果的です。


6. 「忙しいけれど〇〇する」という挑戦の姿勢

「忙しいけれど〇〇する」という姿勢は、忙しさを乗り越える第一歩です。この言葉には、現状を変えるための挑戦の意思が込められています。


挑戦を通じて未来を切り開く

「忙しいけれど新しいアイデアに挑戦する」「忙しいけれど仲間を支える」という姿勢が、職場の雰囲気を変え、保育の質を向上させる力になります。


7. 忙しさを乗り越えるための行動

忙しい現場を支えるためには、個人の努力だけでなく、職場全体での取り組みが重要です。ここでは、忙しさを乗り越え、より良い職場環境を作るための具体的な行動を紹介します。


① 業務の優先順位を明確にする

忙しい中であれもこれもこなそうとするのは、負担が増えるだけでなく、質の低下につながります。次のような方法で優先順位を整理する習慣を取り入れましょう。


タスク分類: 緊急かつ重要な業務、重要だが後回しにできる業務、急がない業務に分ける。

日々の共有: 朝礼やミーティングで「今日のやるべきこと」を話し合い、役割分担を明確に。

優先順位を全員で共有することで、無駄を省き効率的に動けるようになります。


② チームで協力し合う文化を育てる

「忙しさを分かち合う」ことは、忙しい職場を乗り越える上での鍵となります。一人で抱え込まず、チームで連携を強化するために次の取り組みを行いましょう。


タスク分担の明確化: 各自の得意分野に応じて業務を割り振る。

困ったときの声かけ: 忙しい時ほど「手伝ってほしい」と素直に言える文化を育てる。

「お互いさま」という意識が広がることで、職場全体の雰囲気が柔らかくなり、より良い保育環境が生まれます。


③ ICTツールを活用する

日誌や連絡事項の作成など、事務作業を効率化するツールを導入することで、大幅な時間短縮が可能です。


日誌作成アプリ: 活動記録や日々の出来事を簡単に入力・管理。

保護者連絡アプリ: お知らせを一斉送信し、確認漏れを防ぐ。

ICTを活用することで、より多くの時間を子どもたちと過ごすことに充てることができます。


④ 忙しさを共有し、支え合う

忙しい現状を共有することで、仲間同士で支え合う土壌を作ります。


日々の業務について小さな進捗でも報告し合う。

忙しさの中でも「ありがとう」「助かった」という声を忘れない。

助け合う職場では、自然と負担が軽減され、安心して業務に集中できるようになります。


8. 忙しさを改善するアクションプラン

現状の忙しさを解消するためには、短期的な対策と長期的な計画の両方が必要です。それぞれの具体策を見ていきましょう。


短期的なアクションプラン

① 日々の業務を見直す

日々の業務を細かく分析し、どの部分を削減できるか、効率化できるかを話し合います。


例えば、ミーティングの時間を短縮するため、事前に議題を共有。

一部の業務をシンプルなフォーマットに変更し、時間を節約。


② 職場の雰囲気を改善する

忙しさを少しでも軽減するために、職場で感謝を伝え合う文化を意識的に作ります。


終礼でその日の成果を共有し、小さな成功を褒める時間を設ける。

職員同士で「ありがとうカード」を交換し、日々の感謝を形にする。


③ 物理的な負担を軽減する

資材や道具の整理整頓を進め、必要なものをすぐに取り出せる環境を整える。

業務スペースの改善や動線の見直しで、作業効率を向上させる。


 長期的なアクションプラン

(1)人員配置を見直す

保育士の人数が不足している場合、採用活動や補助的な役割のスタッフの導入を検討します。


新しい職員が馴染みやすいよう、研修プログラムを強化。

パートタイム職員やボランティアの活用で柔軟な対応を図る。


(2)働き方改革を進める

フレックスタイム制やリモートでの一部業務を取り入れるなど、働きやすい仕組みを検討。

職員一人ひとりの健康管理を重視し、ストレス軽減に努める。


(3) 外部リソースを活用する

保育士がすべての業務を担う必要はありません。外部の力を借りることで、現場の負担を軽減できます。


行事の準備や清掃業務を専門業者に依頼。

コンサルタントを招き、業務効率化のアドバイスを受ける。


 継続的な改善の取り組み

改善は一度で終わりではありません。新しい取り組みを試し、必要に応じて見直し、職場環境を常に向上させる努力を続けることが大切です。


定期的なミーティングで、取り組みの成果と課題を話し合う。

成功事例を共有し、他の園や施設とも積極的に情報交換を行う。


9. まとめ

忙しさを感じるのは当たり前の現実ですが、それを言い訳にせず、仲間と協力しながら改善していくことが保育の質向上につながります。忙しい現状を乗り越えるための一歩を今日から踏み出し、明るく充実した保育環境を目指しましょう!

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